ayya # 043 パトレイバー W XIII

 パトレイバーwXIIIを観劇してきた。10年ぶりの新作ということで今回は例の脚本伊藤-監督押井のパターンではなくて脚本とりみき-監督高山文彦だそうで「重い」映画になっていた。映像はいまどきの映像とてそれはそれは2Dも3Dもたいへんなもので、わたしなぞには「とにかくスゴイ」としかいいようがない。妙に軽そうに見えるというはなしもあるのだが、それはそれ。

 けれども、われらが特車二課の登場シーンはほとんどなく、パトレイバーイングラムの勇姿は10分いってないよなあ。まあ、パトレイバー2でもそんなに多くはなかった。

  富野由悠季がインタビューでいってたのだが、ハデな戦闘シーンというのは大量の絵が必要となり、手間がかかり、よって金がかかるのだそうだ。そんなわけで戦闘シーンにはできるだけコックピットでブツブツ搭乗者が喋ったり操作したりするシーンを混ぜて枚数を節約するのだそうだ。戦闘中にベラベラ喋るパイロットが多かったのはそういうことらしい。ともかく、今回のWXIIIは戦闘シーンを売りにしているわけではなくて、シーンに関してはおとくいの東京の風景である。電車の高架下の通路とか角店のアイスクリームとか、人間が住んでいるのかよくわからないボロ屋とか。駅のわきのコンクリート階段とか。ここらへんの風景画はいつもながら一見の価値ありである。

  すじのほうでは例えバケモノでも、ガン細胞でも、親子の絆と愛情を切れない人の業がオゾましくもあり、この点ではエイリアン4を想起させる。ただし、こいつはエイリアン4のように親子の情愛と人類の存亡の板ばさみにはならず、愛情を貫ぬいている。

 原作はもちろん漫画版パトレイバーの「廃棄物13号」なのだが、モチーフとしての父への娘の愛情は母の娘への愛情におきかわっており、真空管アンプでクラシックLPをこよなく愛する久住刑事の登場などかなりというより全然書き変っていてそれはそれで面白い。

  しかし、面白いは面白いながら、鬱鬱とあれこれ考え込んでしまうこの後味はなんなんだあ。

[前へ] [次へ]
[Home] [目次]

2002/4/6