ayya # 068 ようこそタロットの迷宮へ。

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  タロットである。どうということはないタロットである。自称電波系なわたしとしてはこのアイテムを逃してはならないような気もして、学生のころ入手した。占い本とセットのやつで充分だったのだが、そこは若気のいたりで当時はやりの魔女のナンタラとかいう占い屋で購入してみた。ベルギー製と書いてある。ここらへんは舶来品といったほうがハクがつくのである。ところが困ったことにカードの意味がわからない。しかたがないので結局その手の本を購入することになったのだが、どういうわけか、カードとセットじゃない本のほうが高いのである。が、いたしかたなし。ここまで来たらこちらも意地である。

  さてタロットは大アルカナ22枚と小アルカナ56枚の計78枚からなる。大アルカナというのがおなじみの「塔」だの「死」だの「ハングマン」だの印象的な絵柄のやつである。とりあえず、これだけでも占いはできる。いっぽう、小アルカナは棒・貨幣・聖杯・剣の4つのスートがあり、それぞれA(エース)、2〜10までとページ(小姓)・ナイト(騎士)・クィーン(女王)・キング(王)の14枚からなる。こちらはトランプの原形であり、4つのスートはそれぞれ、農民・市民・僧侶・貴族を象徴し、トランプのクラブ・ダイヤ・ハート・スペードに相当する。このタロット、岩波新書『トランプ物語』によれば、16世紀ごろには実際ゲームつまり博奕に供されたということである。これは戦国時代にポルトガルを介して日本にも流入して花札および株札に進化することになる。なおこれを指すポルトガル語のcartaは紙片というほどの意味だが、それを聞いたわれわれの祖先はこの手の遊具を「歌留多・骨牌(かるた)」と呼んだという。ルールはトランプのブリッジや花札のはちはちに似たトリック制のゲームだったようだがよくわからない。

  それはさておき、この博奕・遊戯の系列はトランプのほうに洗練されていき、タロットのほうは占いのほうにもっぱら使用されることになった。ここらへんは初心者でもとりあえずゲームに参加しやすいことが必要な博奕と、どちらかというと衒学的なほうが威厳のでる占いとの差であろうか。もちろんトランプのほうでも一人遊び・占いのほうは発達しており、いまや某OSのせいかフリーセルは最も遊戯される一人遊びのひとつとなっている。しかし、これで占いをやる人はいるんだろうか。

  さて、タロット占いだが、これもケルト十字とかなんとかあれこれの並べ方、めくり方の流儀がある。一番シンプルなやつはカードを全部掻き混ぜ一枚とりだす、これだけである。なんぼなんでもシンプルすぎて勝負が速すぎる。そこでもうすこし複雑なやつは、三枚ならべて、適当にとりだすやつである。それをやってみた。

  何事か聞きたいことを定め、一枚を取り出す。それにはキーワードがあるからその意味を感じとる。さらに疑問が出たら、もう一枚をめくり、ご神託を頂戴する、でそれでも疑問が残ったら三枚目というわけである。あんまりいっぱいめくり過ぎては却ってわけがわからなくなる。三というのがこういうのには概ね好まれることになっている。

  他人様を占う場合はカードの意味をつげ、思いあたるフシはないか聞いてみる。最初は何がなんだかわからないのが普通だから、いろんなことを思い出してもらう。このときにうまく誘導するのがこちらの仕事というわけである。ようするにヘッポコ・カウンセリングごっこである。フロイト風ならば、抑圧された無意識を解き明かすとでも称し、相手がムキになって否定したがるポイントを追及していけばいい。「あなたの心の奥の本当のあなたが出てきたがっているのに、あなたの顕在意識やプライドなんかが邪魔して出てこれないでいるよ」ってわけである。この方法はうまくいけば、わけのわからない説得力がでるけれども、ヘタをするとひどく嫌われることになるので注意が必要である。安全策としては相手のもっとも思い込みたがっているところにもっていくのがよい。「自分でもなんとなくそうじゃないかと思っていたけど、やっぱり…」というわけだ。こちらは概ね歓迎されることになっている。

  いずれにしても、相談者の信頼を得ることが肝心なので、各カードのキーワードぐらい暗記してないと霊験あらたかというわけにはいかない。しかし、困ったことにわたしはこの種の暗記はもっとも苦手としている。かくて、タロットはおもちゃ箱の底深く10年あまりの眠りにつくことになった。

  それが先日、どういうわけか発掘してしまったのである。ここはタロットのほうがわたしに遊んでもらいにやってきた、と考えるのが正しい電波系であろう。それとも、怪電波がわたしとタロットの失われた繋がりを呼び覚ましたか。まあ、よい、ときはパソコン・インターネット時代である。ちょいとCGI化することにする。

  さて、お立合。御用とおいそぎでないかたは下のリンクをつたってタロットの迷宮へいらっしゃい。占うのはわたしではない。あなたのこころの奥底であなたに語りかけようとしている、もうひとりのあなたである。タロットはただその声を媒介するにすぎない。なお、姉妹プログラム意志決定支援プログラムおよびなんでも相談プログラムもよろしく。そちらはいちおうわたしのオリジナルである。

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説得力
こうした場合、「そうだ」と認めれば、それで正しいことになり、「違う」と否定すれば、「否定したがるのは当たっているからだ」という証明になっちゃうんだから。これは最強である。
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2003/1/23