人気サイトShow's Hot CornerのMS Watchによれば、Yahoo!BBの無線LANつきのモデムというのは非常に強力でかなり遠くでも送受信可能なのだそうである。で、子器のほうが自分の家の無線LANではなく隣家の親器につながってしまうのだそうだ。もちろん双方とも暗号化しておけばよいわけであるけれども、隣家の親器のほうが暗号化を設定していなくて、なおかつDHCPなど使用していたりすると、子器のほうはあっさり自宅のほうでなく隣家の子器にバけてしまうのだそうだ。
ということは、これからアパートくらしなど始めるというかたはとりあえず子器だけもっておけば、うまくすると上下左右のどこかの非暗号化状態の無線LANからインターネットに接続できる可能性が高いわけである。
メールに関してはウェブメールシステムを使えば、送受信とも可能になるし、ウェブサイトも無料系などうまく活用すれば完全無料システムを構築することもユメではないかもしれない。たとえ、不幸にして近所に無線LANを構築している人がいなくても、トロそうなのをうまくマルめこんでYahoo!BBに入会させ、白い制服の広報員から無線LANモデムをもらってしまえばよい。そのさい親切面して「設定してあげるよ」なんてってしっかり暗号化もしてあげて、その暗号でログインしてしまえばよいわけだ。ついでにIP電話もかけほうだいってなことになるのだろうか。
もっともこんな詐欺まがいの行動をしなくても木造モルタルアパートならば、ひとりだけYahoo!BB会員にしたてて、アパート中で使用。料金はわりかんとすればまあ300円/月くらいでみんなでシアワセになれそうな気もする。これってやっぱりYahoo!BBさんにバレたら叱られそうな気もするからヤメたほうがいいんだろうか。
ところでわが家にはいまだ無線LANは導入されてはいない。二階建て一軒家の広大な家ならともかく2DKの安アパートに無線式のLANだの、親子電話だの、まるで意味がないというのが現状だが、じつは電波がこわい。
高校生のころわたしはアマチュア無線部などに在籍しており、さらに個人無線局なども開局していた。にもかかわらず、わたしの個人局JI3VUEは一度の交信もなく閉局となった。おもにアンテナや無線機をいじることには興味があったが話すほうは極めて苦手であった、という理由によるものだがそれだけではない。開局当初は初交信に向け日々努力はしていたのである。
無線の到達距離をのばす方法はおおむね二つある。ひとつは送信電力を大きくする方法。たとえば送信電力を10Wから100Wにすれば到達距離は単純計算では3倍くらいにのびる。もうひとつはアンテナを改良する方法。能率のよいアンテナをつかえば、受信距離は飛躍的にのびる。たとえば、10dB能率のよいアンテナをつかえばさきほどとおなじ効果がある。
ところが無線は送信するばかりではない。受信できなければ送信する意味はない。ここで電力を増強するほうは送信の能力はあげるが、受信能力には影響しない。いっぽうアンテナのほうはその両方を同様に高める。したがって、電力のみを増強し、受信能力をそのままにすれば、自分の電波は強くするが、それに対する相手の応答は聞こえないという事態を招くわけである。こういうのは
「××ボ(聴力障害者に対する差別語)の大声」
と呼ばれていたのであるが、しかし、非常に多かったのである。
そのわけは電力の増強はパワーブースタを買えばそれでおしまいなのである。いっぽうアンテナのほうはサイズもおおきくなるし、設置の仕方がまずいとすぐに能率は下がるし、すこし歪んでもたちまち能率が下がる、と設置者の技術力を要求するのである。その結果、便利なものを買ってすまそうというのが当時の流行であった。どういうわけか、わたしが交信しようとすると誰もかれもそうらしいのである。かくて、わたしの電波は誰にも届くことはなかった。
こうした悲しみを経て、わたしは電波を見るということを覚えた。電波の気持を考える少年となったのである。われわれの安易な精神で凶暴化した電波はいまや荒ぶる神となって、本来いくべきでないところに入りこみ、思いもしない障害をもたらす。テレビジョンには意味不明な縞模様を描き、制御機器を誤動作させ、ADSLのスピードを劣化させ、高級オーディオアンプをラジカセもどきにする。
われわれは荒ぶる電波を畏怖すべきときを迎えているのだ。民びとよ、畏れよ、電波さまを。 というわけでYahoo!BBのおにいさんおねえさん、親器はいらないから子器だけ頂戴。
2003/3/18