事の次第はこうである。デジットでPCM61P(18bit DAC)を@150で売っているのを見、一つCD用のDAconverterなどつくるか、と思い立つ。12個ばかり買って、共立へついでに赴き、DAI ICのPD0052を買う、これは@500で、トラ技スペシャルに掲載されていた奴で使い方も解る。さて困ったのはデジタルフィルターで、これは無しで済ますか、61Pではダメか。明日まとめて考えよう。
ところで、ご存知無い方のために以下にDAconverterのブロックダイアグラムを描く。勿論これは一例。
このうち、DigitalFilterとAnalogFilterのうち片方は無くても良い。何だったら両方無くても良い。MJ誌に両方を省略した実験が掲載されていたと思う。ただし、16bitのDACでなければ、余ったbitの処理に悩む事になる。また、DACはI(電流)で出力するものが多いので、AnalogFilterの前または後にIVconverterをいれてV(電圧)に変える。
野暮用があり、東京へ出向いたおり、ふらふらと秋月に立ち寄ってみる(JR東京と秋葉原はものすごく近い、何も用が無くとも東京駅に降りたった途端、ふと気づくともう秋葉原デパート前で包丁の実演販売をみているほどである。)と、デジフィルYM3434が@400であるではないか。パーツ皿には早くも、1個のYM3434と8個のPCM56P(16bit DAC)があった。(おいおいそんなに買ってどうする?)
実はこの手の機能LSIというやつは応用範囲が狭い。基本的にデータシートの例からそう遠くは離れられない。(ただし、達人は別。電波科学の逆瀬川先生とかラジオ技術の黒田先生とか、はたまた別府先生、山崎先生と何をやらかすか解らない鉄人と云うのはいて、あっと驚く知恵を見せてくださる。)
で、僕達ラジオ少年としては、AnalogFilterと電源に気合いを入れる事になる。IV変換するまえにパッシブの2次フィルタを入れよう、大体高周波というやつは、いくべきところにはちっともいかないくせに、行かなくて良い処にはどんどん行くのだ。何を隠そう、私はこいつの所為で高性能オーディオパワーアンプをただのNHK専用AMラジオにされてしまったのだ。こんなものをうっかり高速OPampなどに入れれば、出力されるのは、トラブルばかりに極っている。
いっそ真空管など使うのも面白いがIV変換と言う趣からはどうしたものか。電源には、バッテリーを使いたい処である。手元には、12V2.2Ahのバッテリーが4本あるこれでDもAも+も-も全部間に合うはずである。電灯線の100Vからの充電機をつくってCD、DATをつかうときにはACラインが切れ、使わない時には定電流、定電圧充電。これでAC由来のノイズからはある程度逃げられるはずである。電解コンデンサやトランスもジャンクの安物で事足りる。
このアイデア、1988頃思い付き自分ではグッドアイデアだと思って、MJパワーアンプコンテストに応募しようという気になっていたけれど、肝心のアンプ回路が雑誌記事のデッドコピーではお話しにならず、そうこうする内に同趣向の発表があり、メーカー製品まででてしまった。所詮凡人の考える事であった。しかし、パソコンやデジタル製品の普及で電源ラインは汚れる一方、空も携帯電話の普及でノイズの嵐、これからは、ノイズ対策がますます課題だろうと思うのだが。