PC-Blues #3 ワープロに挑む

  こうしてパソコンなるものを導入すると云うと、日本人の常としてワープロに手を初めてみたくなった。仕事で使う文書など、ワープロで作成せねばならぬ事になっており、しかも『S院』という会社備え付けのマシンでなければならぬことに、なっていた。

  ところがこのマシンHDDがなく、いちいちFDのシステムディスクを入れねばならぬ。その動作速度たるや、少し複雑なものをつくれば、プリントを始めてから昼飯にいき、買物をしてからもどっても大丈夫というものであった。本当に厄介なのは、プリントアウトの時じゃないのだが。私は、根っからの機械音痴なので、そういうものは使えない事になっていたのである。そういう事の許される時代、職種、立場にあったわけだ。その影で、私の手書き原稿を清書させられた可哀想な女の人がいたわけだが。御免なさい、でも本部の98で貴方の使ってた『I太郎v5』とあたしのところの『S院』ではぜんぜん手間がちがうんですう〜。て、やっぱりダメか。

  この互換性の無いformatは当時会社が電子データに関心が無く、プリントアウトされたものだけが必要だった事を示している。FDのほうは死蔵されていた由。証拠に各期の定型文書が前回のプリントアウトを参照しつつ、全文打ち込まれていた。そんなわけなので、自前でマシン準備してプリントアウトだけ出しちゃえば、問題なさそう。

  私が選んだのは、オーロラエースというもので、縦書き、ふりがなができて、なおかつ、コンパクト、噂によればFD一枚に入れて起動できるというものであった。ま、FD起動なんかしないけれど。なるほど、さっさと起動してらくらく動く。画面上の縦書き横書き切替えも1秒くらいでと。悪くないねと思いつつも、プリンタを持っていない。結局ろくに使わぬ間に退職してしまいました。

  その後、とくにワープロを使う事もなく大概はeditorで事が足り、Windowsも使わなくなって、結局未だにワープロは使えないやつのままだったりする。

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