Linuxといえどもいまどきは起動時からX-WINDOWをスタートし、MSウインドウズとみまごうばかりのデスクトップなどを使用するものが多くなった。なんでもかんでもGUIでマウスでぐるぐるちょんちょんというのがハヤリらしい。けれども非力なマシンを使っているとか、ダブルクリックができないせいでマウス恐怖症になったとか、おさなごころに焼き付いたパソコンないしはUNIXのイメージを大切にしたいとか、さまざまな切実な理由から、黒地に白を基調とし、せいぜい16色くらいのコンソールをこよなく愛し、常用する人も多い。
『ソフトウェアの法則』(中公新書)によれば「初心者がウインドウズシステムを立ち上げて後、最初に行う仕事はDOS互換ボックスを呼び出すことである。」という。やはりあの白黒画面に点滅するカーソルのプロンプトには人を安心させる何かがあるのだろう。
ところがLinuxのコンソールはそのままでは日本語が表示できない。
そこで、konというプログラムをインストール、起動する。日本語版のディストリビューションならば、最初からインストールされているのが普通である。 起動はlinuxコンソールから
kon
でとりあえず起動する。
けれどもkonを起動すると、 "can't load vga.fnt"というエラーが出る場合がある。これは、/etc/kon.cfgの
# Startup command definition (usually font loading commands are specified) minix-gzip:Startup /usr/bin/fld -t fontx -n /usr/share/fonts/vga.fnt gzip -d < /usr/share/fonts/pubfont.k.gz | /usr/bin/fld -t minix -n # gzip -d < /usr/share/fonts/pubfont.a.gz | /usr/bin/fld -t minix -n # gzip -d < /usr/share/fonts/vga.fnt.gz | /usr/bin/fld -t fontx -n
というエントリのせいであるので、例えば
# Startup command definition (usually font loading commands are specified) minix-gzip:Startup gzip -d < /usr/share/fonts/pubfont.a.gz | /usr/bin/fld -t minix -n gzip -d < /usr/share/fonts/pubfont.k.gz | /usr/bin/fld -t minix -n # gzip -d < /usr/share/fonts/vga.fnt.gz | /usr/bin/fld -t fontx -n # /usr/bin/fld -t fontx -n /usr/share/fonts/vga.fnt
こんなふうに直せばよいのだが、こいつは少しクセがあって、
という注意が必要である。
このエントリはフォントのロードをするのだが実際に仕事をするのは「Startup」のマークのついているところだけである。PCDOSとかDOSVエクステンションなどのfontxフォントを持っていてそれを使いたい場合は、
fontx: /usr/bin/fld -t fontx -n /usr/share/fonts/jpnhn16.fnt /usr/bin/fld -t fontx -n /usr/share/fonts/jpnzn16.fnt
このエントリをfontx:Startupとしてやればよい。ただし
/usr/share/fonts/jpnhn16.fnt
というのがフォントのパスである。これは任意のパスでよい。ただ、PC-DOSのフォントは"$"で始まるものが多いのだがこの名はトラブルを起し易い。適宜リネームするほうがよいだろう。
テンプレートにあがっているのはminixフォントとfontxフォントだがbdfフォントも 使える。bdfにはおなじみのまるもじフォントがあるのでこれを使用することもできる。使用イメージは以下のとおりだが、これはそれっぽくギソウしたrxvtをハードコピーしたものなのでエセである。でもまあこんなかんじだ。
こいつを使うには以下のようなエントリをいれる。まるもじフォントは odajima's marumoji page からもらってきてエントリのとおりのパスにおく。
# Startup command definition (usually font loading commands are specified) bdf-zcat16: gzip -cd /usr/share/fonts/bdf/maru.bdf.gz | /usr/bin/fld -t bdf -n gzip -cd /usr/share/fonts/bdf/8x16rk.bdf.gz | /usr/bin/fld -t bdf -n bdf-zcat14:Startup gzip -cd /usr/share/fonts/bdf/maru14.bdf.gz | /usr/bin/fld -t bdf -n gzip -cd /usr/share/fonts/bdf/7x14maru.bdf.gz | /usr/bin/fld -t bdf -n
これで由緒あるまるもじフォントが使用できる。
画面サイズ、文字数は変更可能で、起動時に
kon
とするかわりに
kon stealth
としてやれば、ビデオカードによっては800x600で起動する。
これがダメでも
kon vga13
kon vga12
あたりを指定すると文字数を増やすことができる。 可能な指定は/etc/kon.cfgのdisplay difinitionに指示されている。もちろん新しい指定を作ることも可能ではあるがビデオ回りに詳しくないとちょっと無理っぽい。
コンソールであってもマウスは使用する。これはメニューの選択とかアプリの起動に使うわけでなくコピー&ペーストに使う。エディタなんかで文字列を貼りつけるのは普通だが、シェルプロンプトにコマンドを貼り付けることもできる。つまり、メイルやブラウザで
echo '#!/bin/sh' >/tmp/tmp.sh ls | sed 's/\(.*\)/echo "探したけれど \1がないでぇ"/' >>/tmp/tmp.sh sh /tmp/tmp.sh rm /tmp/tmp.sh echo "ゴメン、ウソや。" ls
といったような一連のコマンド群を見付けたとき、これを適当なファイルにコピーして実行してもいいわけであるが、この領域をマウスで指示し、メイラやブラウザをいったんCtrl+zで中断して、出現したプロンプトに貼り付けてやればタイプミスもなくそのまま実行してくれる。もちろん、X上のxtermやrxvt、Etermでも同様であるが。
コンソールでマウスを使うにはgpmというプログラムを使う、これをkonで使うには、 このサイト(Plamo Linux のお部屋)のとおりやればよい。要は/dev/mouseではなく/dev/gpmdataを使うこと。これでkonの対応していないPS2マウスも使用可能となり、Xとgpmの競合もさけられる。 ただし、konでは中ボタンで貼り付けというのはやりにくいので
killall gpm /usr/sbin/gpm -R -m /dev/mouse -t ps2 -B 132
としておいて右ボタン貼りつけとしておいたほうが使い勝手がよい。
2002/3/14