PC-Blues # 035 電波こわいでは、「ひとりだけYahoo!BB会員にしたてて、アパート中で使用。料金はわりかんとすればまあ300円/月くらいでみんなでシアワセになれそうな気もする。これってやっぱりYahoo!BBさんにバレたら叱られそうな気もするからヤメたほうがいいんだろうか。」などと書いたが、ハッキリキッパリ違法行為なのだそうである。回線業者の私有物をわれわれ利用者が借用しているといった事情なので、それを他人に使わせると又貸しってことになり、不法使用なのだそうである。
そんなわけで、どうやら、友達がパソコンをもってやってきても、ホイっとLANに入れてやって、インターネットなどに接続させるとプロバイダに損害賠償を請求される恐れがあるらしい。
無線LANの場合、ファイルの共有なんぞしていないから、狭い到達エリアにいるような他人がタダノリしたところで平気だと思って豪快に暗号化しないでおいて、開放したりするととてもマズいことになるらしい。
ところが、これを正面からサービスにする業者が現れたらしい。 FONである。自宅のADSLインターネットへの無線LANの接続を周囲の人に開放し、そのかわり他人の無線LANにのっかってインターネットに接続するというものらしい。無線LANには専用のアクセスポイントを購入するわけだが、これが1980円だそうで、メーカー製のものを購入するより比較的安価にできてしまうということである。
自宅のLANを公衆に開放してしまってセキュリティは大丈夫なのかという気もするが、それなりに対策は講じてあるらしいがよくはわからない。
わたしがこれに加入するかどうかは当分、見を極めこむつもりである。いっぱい普及してきて、他者の対抗サービスなど出揃ってから、いちばん有利なものに加入すればよいわけだが、自分のことはさておき、発想が楽しい。
自分の財産を他者にイタクない程度に開放して、他者の財産をイタクない程度に貸してもらって、みんなで幸せになろう、という発想が10年あまり前のインターネットの普及を想起させるのである。
インターネットの場合はうちのサーバーを使っておくれよ、君のサーバーをちょっと借りるよ、でみんなで幸せになろうよ、という発想がウケたと思うのである。例えば、ここから、インターネットに接続して、どこかのサーバに接続すると、最初はプロバイダにいくわだが、その後、どういう縁かユカリかわからないようなサーバを次々と経由してパケットが中継されていくわけである。その経路も特に固定されているわけではなくて、その都度ごとに様々の経路でバケツリレーというわけである。
それ以前のパソコン通信ならば、電話会社の回線を通じて、パソコン通信会社へ通じ、また電話会社で戻ってくるだけなのでどうということはないし、ただの利用客である。
それがインターネットでは、わたしが繋いだからってこれといった利益があるわけでないイリノイ州立大学のサーバがパケットを中継してくれたりするわけで、ナンダカ感心してしまうという事情であった。
いまでは商業利用がものすごく増えて、単なる通信以上の意識をすることはなくなってしまったけれども、このfonというやつは自らのインフラを見ず知らずの人に開放して、見ず知らずの人のインフラを貸してもらうというところが何か面白そうである。
ところで、fonには二つの利用の仕方があって、一つは自分のインフラを他人が使用する場合には金をもらい、他人のインフラを利用する場合には金を支払うという仕方である。この利用は「Bill」というそうだ。いかにもWindowsな雰囲気のネーミングだがそういうことらしい。もちろんwindowsでなければ利用できないというわけではない。
もう一つは自分のインフラは無料で開放するかわりに、他人のインフラも無料で使用する方法で、この方法は「Linus」というのだそうである。いかにもLinuxっぽいがやはりそうらしい。もちろんlinuxでなければ利用できないというものでもない。
このfonその時々で利用可能なアクセスポイントがgooglemapの利用で視覚的にわかるようになっている。現在利用可能なポイントは緑の大きな円になって表現されている。その円の内部あたりで使用可能というわけだ。
利用不可能になっているアクセスポイントはオレンジの小さな円で表現されている。
ところが、面白いことに、御当地スペインではもっぱら緑の円ばかりなのに、イギリスで見てみるとほとんどがオレンジである。
これはイギリス人は倹約家で、いちいち無線LANの電源を落としながら利用しているということなのだろうか、それとも、イギリスには他人のインフラを利用するのは大好きだが、自分のインフラを開放するのはイヤな人が多いということだろうか。
なんかよくわからないが、面白そうなので、ちょろちょろ観察してしまう。
2007/04/04