▽あなたを愛していますと申し出た相手方に対して、その愛を受け入れることができませんと断る返事の手紙。
▽求愛の手紙をもらっても、相手方の人間そのものを愛することができなければ、思い切って謝絶したほうがよい。その際に、物質的な魅力や義理人情を考慮に入れる必要はない。
▽〈要点〉愛を受け入れる心の準備ができていないことをはっきり書く。どうかあしからず。イエスかノーか分からないような返事は、かえって失礼である。
▽〈注意〉*求愛状に対しては、返事を出さないことが謝絶だと考えてはいけない。相手方は成功するまで何回も手紙をよこすから、断るつもりならば、求愛の謝絶の手紙を出すべきである。
〈求愛の謝絶の例 〔仕事の上だけのおつきあい〕〉
拝復 このたびは、お手紙ありがとうございました。結論を先に申しますと、あなたがわたしに対してそんなお気持ちでおられたのにびっくりいたしました。わたしは、ただ命令されて今度の展示会の準備をしているだけであり、仕事の上でおつきあいしているにすぎません。もちろんあなたはお仕事の上では先輩であり、わたしはあなたにいろいろご指導をお受けしなければならない立場にあり、その点であなたを心から尊敬しております。しかし、わたしがあなたに字を聞いたとしても、それはただ先輩の指導を受けたというだけで、ほかの理由はありません。
ただし、こんなことを言ったために、今度のお仕事のことであなたと気まずい間になったら困ると、ずいぶん悩みました。しかし、結局、仕事は仕事、会社の仕事をしているときに個人的な感情を混ぜるようなことは、やはり避けたいと思い、お手紙を書くことにいたしました。どうか意のあるところをおくみ取りのうえ、今までどおり、同僚としてのおつきあいにとどめていただきたいと思います。ご期待に添えないことは残念ですが、何もなかったこととして、お許しいただきたいと存じます。他に良いお相手の見付かることを、心からお祈りいたします。
まずは、思うとおりに書かせていただき、ご返事といたします。どうかあしからず。
敬 具
いやあ勉強になりますねえ。ラブレターはこうやって書くんですねえ。