ayya #32 青森観光。 (後編)

弘前

弘前城は津軽の殿様津軽氏の居城で公園となっている。天守閣はとうに失なわれ、本丸にはちょんもりと東南櫓が残るばかりであるが、小振りながらも優美な姿を誇っている。堀の護岸以外には石垣はほとんど用いられず土塁である。城南に面して、山車展示館、図書館、旧図書館跡、郷土文学館、と文化施設がならんでいる。ねぷたとは別に山車と練物の行列が江戸時代以来おこなわれたそうである。意匠をこらしたさまざまの山車は見事だが、町衆の自主的な祭というだけではなくて藩そのものが重要な行事と位置づけていたらしく行列の周回コースは弘前城内もはいっている。藩主みずから三の丸におりてきて専用見物席を準備してたのしみにしていたという。津軽藩の財政が苦しくなったり、飢饉がおこったりするたび中止となるが数年後には復活している。

「旧図書館」の図旧図書館はもと私設であったが市に寄贈されたという。明治40年くらいの建築で当時はやりの洋館に見えるが、実は日本建築で、外壁はしっくい塗り。土中につながる建物と一体の基礎はつくらず、石の基礎の上に建物をおいてある。よって曳家が可能で、実際あちこちに移動して喫茶店として使われたり、アパートになったり紆余曲折の末現代の位置で歴史史料となったとのこと。

郷土文学館

陸羯南、佐藤紅緑、葛西善蔵、平田小六、今官一、福士幸次郎、太宰治、一戸謙三、高木恭造、佐藤愛子、石坂洋次郎、今東光、今日出海、長部日出雄とまあ弘前ゆかりないしは出身の文学屋の資料がかたはしから展示してあって、方言詩のコーナーには高木恭造、一戸謙三らの詩の朗読がスィッチひとつで聞けるようになっている。

この高木恭造がタダモノではない。自作方言詩をギターの伴奏つきで自ら絶叫してしまうやつで、こいつは友川かずきか福島泰樹かといった体である。CDかLPかでアルバムも出しているらしい。

冬の月

嬶(カガ)ごと殴(ブタラ)いで戸外(オモデ)サ出ハれば
まんどろお月様だ
吹雪(フイ)だ後(アド)の吹溜(ヤブ)こいで
何処(ドサ)エぐどもなぐ俺(ワ)ア出ハて来たンだ
−−ドしたてあたらネ憎(ニグ)ぐなるのだべナ
   憎(ニグ)がるのア愛(メゴ)がるより本気ネなるもンだネ
   そして今まだ愛(メゴ)いど思ふのアドしたごとだバ

ああ みんな吹雪(フギ)ど同(オンナ)しせエ 過ぎでしまれば
まんどろだお月様だネ

とまあこんな調子である。そういうことやってると月に帰ってしまうよお。アンタのかぐや姫。

青森

青森へついて、駅前商店街をブラブラ歩いていたらトム・ウェイツが聞こえてきた。もっと歩くとボサノバが、そのさきではリズム&ブルーズがもっといくとモダンジャズが掛っている。それはショットバーとか喫茶店で歩道に向けてドアもなしで椅子とカウンターを開いている。ううむアメリカ大好き青森人である。さて駅前に戻ると駅前ビルがあるのだがこの6階〜9階は市立図書館である。地下には食料品店というよりは魚屋、八百屋、漬物屋、乾物屋などなどが区画をもらって営業している。海鮮屋も数件あった。どうやら公立ショッピングビルらしい。観光ガイドによるとFestival City Agua というそうだ。1階〜5階までは服屋や小物屋などがはいっているようだがそれは未確認。

フェリー埠頭の近くには船の博物館があって、ここには急速に消えつつある木造漁船があつめてある。なんでも和船は丸木船が原形となってその両側に板を貼りつけていく構造なのだそうだ。さらに北前船のレプリカがあったり、ジャンク船を復刻したりしている。このジャンク船は「みちのくマカオ号」の図「みちのくマカオ号」といって大河ドラマ北条時宗の撮影に貸してあったのが戻ってきたそうな。ドラマでは博多商人謝国明の商船になったり、元軍の軍船になったり忙がしかったらしい。さらにインドネシアのピニシ船も復刻してしまったそうである。

[前へ] [次へ]
[Home] [目次]

2001/08/22,23