子どもの科学8月号別冊『夏の熱い科学体験』によると、デジタルカメラを使えば安直に赤外線写真が撮れるという。そのわけはデジタルカメラの心臓部であるCCDというやつの感度は可視光線領域より広く赤外線領域まで伸びているということらしい。しかし、赤外線の写真を撮られても撮った写真も赤外線では見えないわけであるが、これがうまくしたもので可視光線をシャットアウトすると明度だけは表現されて白黒写真ふうの映像がとれるという。
とりあえず、こんな具合である。空が暗くみえるのは夜なのではなく、真昼であるけれど赤外線が少ないためであり、石の灯籠の陰影が強調されているのは日向と日陰の温度差が大きいということである。(註1)面白いのは木の葉で、かなり強烈に赤外線を反射しているので真っ白になる。
空に関しては暗くなるが雲はいよいよ白く映る。さすがにいろんな光を反射しているようである。また散乱は少なくなるので却って遠くまでみわたすことができる。
近所の小川などをとると小川の周囲はいちだんと温度が低いらしく真っ黒である。(註2)ソフトウェアで明度をあげてもまだくらい。
一方、当然ながら太陽は素晴しく明るい。
さて、実際の赤外線写真のとりかただが、ようするにデジタルカメラのレンズの前に赤外線フィルターを貼りつければよい。赤外線フィルターはカメラ屋さんにおいてある。セルロイドのような黒いシートである。濃さによって番号がついている。『子供の科学』に紹介されていたのはフジフィルムのIR76というものの7cm角のもので、値段は900円といったところである。ヨドバシカメラで求めたところIR76は10cm角のものしか在庫しておらず、こちらは面積が二倍なので1920円である。7cm角は近い数値ではIR78というのがあり、これはやや色が濃いとのこと。サンプルを見ますかというので見てみるとどちらもただただ真っ黒である。値段に負けてIR78を購入した。これで撮影に失敗するとまさに安物買いのゼニ失いであるが幸いにして上記のようなものがとれた。カメラへの装着はハサミでこいつを3cm角ほどに切取り、光が差し込まないように注意してセロテープでとめて完了である。
ところで赤外線カメラとなると暗視スコープ=スパイグッズというのが中年の気分であるが、このフィルターをつけたからといって別に感度があがるわけではなくむしろ下がるくらいである。よって、フィルターなしで撮影不能な光量の不足する環境、ようするに暗いところではやっぱり光量不足で撮影不能なのであった。かなしや。
2003/9/17